全国デビュー

 私が卒業した熱海国際観光専門学校には、観光学科と観光経営学科の二つがあって、私は経営学科でした。もう一つの方は旅行代理店のツアー添乗員を目指す学生の授業中心でした。きついボカシ入れた写真は過日、全国ニュースで報道されちまった、苫小牧の某小学校6年生修学旅行が、あろうことか旅行代理店のバス手配失念で止む無く中止、延期。

 

 事の経緯は学校と修学旅行の契約締結後、代理店はバス会社と仮契約締結後、本契約をしないままに、手配済と思い違いしていた。バス会社は仮契約状態のため、契約が解消されたと思い、双方確認しない状態で旅行当日を迎えた。児童は朝、7時20分に集合。楽しみにしていたのは言うまでもない。しかし待てど暮らせどバスは来ない。雪は降るは降るが貴方は来ない、と歌っている場合でもなく、学校で直ぐに連絡して発覚。バス会社色々と手配したが、手配つかず中止に。

 

 教育旅行仮予約の案件で、一気に爆発したホテルニセコアルペンの営業責任者、某なにがし佐藤は、電話で担当者にその怒りをぶっつけ、収まらず札幌教育支店の責任者に顛末伝え、恐縮至極の謝罪でそれ以上の手段はやめた。仮予約は全館貸し切り300名を超える生徒の宿泊。夏場の大口は、まさにプラチナの価値なのだ。1週間程度の押さえて、と言う担当者の言葉通りにしていたが、10日間経過しても音沙汰ないので、当方から確認連絡した「ハッハハハー(※まさかの笑いながらの返答)、それはもうナイナイ」自分が連絡失念していたにも関わらず、笑いながらのナイナイ・・、ざけんじゃあねぇ。周囲にいた部下たちは、その剣幕に顔が強張っていた。

 

 幸いフロント周辺にお客様がいない時間帯だったが、あとで考えたら、もし予約したお客様が居合わせたら「急用できて、予約キャンセルして帰ります」と速攻いなくなっていたな、と。

 

 ボカシ写真の支店長は、専門学校の後輩で彼は観光学科。苫小牧日本旅行に職を得て長年勤務し、今は違う代理店に移り支店長に。もう随分と以前に、苫小牧で彼と一献傾けた時、彼はなんと土間の居酒屋に案内してくれた。土間ですよ、土間。強烈な思い出として残った。その後駒大苫小牧が初優勝し、高校の校長が後志に出張で来る手配を彼から受けたことがあった。今回のポカは部下のしでかした事とは言え、その全責任を負う立場にある。しかし、彼ならこれを機にさらに学校との信頼関係を構築できる男なのだ。子供たちも20年、30年経った時の同窓会での、忘れられない思い出に間違いなくなる。「あった、あった、今考えると笑えるよね。でさぁ、延期になったから、旅へのワクワクを二度楽しめ得したね」とキット言うのだよ。マッ、M君、次の全国デビューは良い話でのデビュー待っているね。